焼肉店を内装工事するメリットや重要性
焼肉店にとって内装工事は集客および経営を左右する重要なターニングポイントといえるでしょう。特に開業やリニューアルする際には避けて通るわけにはいきません。ここではこれから焼肉店を出店する人に向けて開業するメリット・デメリットに触れたうえで、内装工事をどのように進めたら成功につなげることができるのか解説します。
焼肉店を開業するメリット
焼肉店と言えば、家族や親戚が揃ったときや職場で大きな仕事を終えてからの打ち上げなどで利用するイメージがありました。もちろん現在でもファミリー層の利用は多く、会社の忘年会や新年会、歓送迎会なども行われています。近年はそれに加えて会社員、しかも女性社員がランチを食べる姿を見かけるお店が増えました。一人で来店してもくもくと焼肉を楽しむ「ひとり焼肉」も見受けられます。そのように焼肉店の客層は時代とともに変化しています。従来のような七輪やコンロで肉を焼いて、立ちのぼる煙が目にしみないようによけながら食べる通好みな焼肉店は少なくなりました。利用する客層が多岐にわたり、焼肉店のタイプもバリエーションが増えたのです。
焼肉店は世間のニーズを的確に捉えることができれば、時代が変わっても生き残ることができる業態と言えるでしょう。しかも一度気に入って「また来よう」と思ってもらえればリピーターにつながります。特に焼肉好きな人は、繰り返し通ってくれる固定客になる可能性が高いのが特徴です。食事のなかで焼肉はお金をかける傾向が強く、1回当たり2000円程度食べる人は珍しくありません。お酒が入れば売上げは3000円~4000円を超えることもあります。客単価が高くなるようなメニューやサービスを工夫すれば収入を上げることが可能なのです。そんな焼肉店を開業するために必要な資格は、食品衛生責任者や防火管理者を取得するだけです。講座を受講すれば取得できるので、開業するためのハードルが高くないこともメリットといえるでしょう。
焼肉店開業におけるデメリット
焼肉店を開業すればメリットも多く、前途には可能性が広がっています。しかしメリットがあればデメリットもあることを頭に入れておきましょう。焼肉店は肉の仕込みさえすれば、料理はお客さんが自分で焼いてくれるから手間が半減するという考え方もあります。実は肉の種類や部位によって仕込みにかなり時間が必要なのです。肉の筋をとる手間がかかり、焼肉のタレをメニューごとに選んで漬け込むこともあります。肉だけでなく野菜のカットやビビンバ、ナムル、冷麺など焼肉以外のメニューに手間を取られて予定より時間超過する可能性もあります。フランチャイズ契約ならば仕込みの段取りやタレなどもマニュアル化されているので効率的に進めることができるかもしれません。しかし個人で出店している場合は、オリジナルへのこだわりもあって仕込みが大変になりがちです。
また、焼肉店は肉の原価が高く付く傾向にあります。ブロック肉から調理する際に、不要な脂を除く「磨き」をかけることで提供部分は6割~7割程度に減ってしまうため、肉の原価が高くなれば基本的にメニューの提供価格も高くなってしまいます。原価が高くなるということは、仕入れにもそれだけお金がかかるため、店はリスクを伴うことになります。しかし、一般的に飲食店の原価率は3割程度とされますが、最近は部位によって原価率5割の肉を提供して。逆に売りにしている焼肉店も出てきました。また、焼肉店は開業するための初期費用が高目なこともデメリットの一つと言えます。店舗物件の費用をはじめ厨房や換気システムなどの設備におよそ1,000万円は見ておきましょう。中古品を購入するなどして抑えることは可能です。飲食店のなかでも焼肉店のように臭いや煙を出さざる得ないお店は、周辺からクレームがあるかもしれません。悪臭や煙を防ぐ対策が必要になる場合もあります。
焼肉店を開業する物件で内装はある程度決まる
焼肉店開業に伴う物件探しは、内装工事と大きく関係してきます。「居抜き物件」と「スケルトン物件」があるのをご存じですか。居抜き物件は、前に入っていた店舗が施していた内装や、残していった厨房や空調システムなどの設備をそのまま利用することができるため、開業準備の費用を抑えることが可能です。一方のスケルトン物件は基本的に内装や設備を全て撤去した、建物だけの物件になります。そのため開業するためには一から内装工事を行い、設備なども揃えなければなりません。スケルトン物件の場合、居抜き物件に比べて費用はかかりますが、自分の好みで内装工事を進められるため、お店のデザインにこだわりが強い方にはおすすめです。
一般的には費用が抑えられて工事期間も短くて済む居抜き仏家の人気が高く、インターネットで居抜き物件を検索するためのサイトがあるほどです。出店するエリアをまだ決めていないならば、早めにネットで検索し、不動産屋に依頼して適した居抜き物件を探しましょう。ただし、居抜き物件は前に入っていた店舗の評判がよければ、集客につながりますが、悪評がたっていたならばそのイメージが逆効果になってしまうリスクがあります。また残していった設備が本当に使えるのか、業務用テーブルやイス、什器などを前もってチェックしておくようにおすすめします。このようにスケルトン物件ならば店舗の設計段階から内装工事を業者と打ち合わせて進めることになりますが、居抜き物件は内装が残っているので内装工事の方向性も決まってきます。
焼肉店の内装工事に欠かせない事前準備
物件探しと同様に内装工事に関わってくるのがコンセプト作りです。焼肉店を開業するうえでコンセプトを明確にしておくことは必須とも言えるでしょう。コンセプトを考えるには、まず事前準備として出店予定地のリサーチを行います。もし物件探しでよさそうな居抜き物件やスケルトン物件があれば、そのエリアをリサーチしましょう。候補地が複数あるときは、それぞれリサーチします。市場調査をすることで住宅地が近ければファミリー層が多い、オフィス街ならばサラリーマンが多い、高校や大学がある街ならば学生が多い、といった特徴が見えてきます。さらに、どのような焼肉店があるのか競合調査を行い、自分が開業する焼肉店の強みやカラーと比較しながらコンセプトを固めましょう。ターゲットとする客層をファミリー層とするならば、メニューの内容も自ずと絞られますし、コンセプトに合わせて子ども連れの家族が気楽に入れるような内装や設備に決まってきます。内装をどのようにすればよいのか悩んだ場合は、まずコンセプト作りからはじめましょう。
焼肉店を成功させる秘訣は内装にあり
焼肉店のコンセプトが明確になれば、それに合わせた内装にすることでさまざまなターゲットの客層にアピールできます。ターゲットがファミリー層ならば内装は子どもが喜びそうなデザインにして、テーブルはコンロを子どもの手が届かないように設置するなど工夫するのです。お皿やコップなど什器も子連れの家族が使いやすいものにします。このようにコンセプトに合わせることで顧客の満足度が上がり、リピーターにつながります。最近では大人をターゲットにしたゴージャスな雰囲気を内装に取り入れる焼肉店も見受けられます。コンセプトは大人がリラックスできる焼肉店です。高級感を出すことで焼肉の単価が上がるだけでなく、一緒に飲むお酒も高級ワインやシャンパンなどを提供することで収益アップにつながります。
まとめ
焼肉店は時代に応じてコンセプトを変化させることが可能なので、ブームが去ってしまうリスクは少ない業態とされます。焼肉店の開業自体はメリットが多いのですが、コンセプト作りや内装工事のポイントを押さえることでより成功に近づきます。今回の内容が、開業する際の参考になれば幸いです。